学校でも、身近な茅や茅葺きを学ぶ、郷土学習を。

資源の限られた三宅島では、「茅」として 伊豆諸島に特徴的なハチジョウススキが、特に大切に使われてきました。かつては茅葺屋根が並び、他の用途にも重宝してきた、三宅島の暮らしの特徴を示すもののひとつです。

現在の島の風景の中でも非常に身近な「茅」を通じて、''先人とのつながり''や、

 ''島の自然とひと(文化)との関わりが 暮らしの本質であるということ'' ''積み重ねられた知恵の意義'' を 感じてもらえたら嬉しいです。島は絶好のフィールドであり、誇りや愛着も湧くのではないでしょうか。

 

時間的空間的にも幅をもって地域内・外の様々な分野の学びへもつながります。島役所跡をはじめとした文化財ももっと活用する余地があります。学校や生活のICT化により不足しがちな様々な実体験を補い、主体的に・健全な感覚をもって行動するための基盤をつくることができ、「島で育った力」をより強くするでしょう。

ぜひ、子どもたちが 身近な素材で 学び・考える機会を広げたいと思っています。

 

同時に、三宅島では自然に関する関心がとても高い一方で、郷土資料館にも学芸員がおらず、歴史や文化に関する紹介や客観的な調査研究がそれほど盛んではない点を、補っていく必要があるように感じています。

三宅島では、島外の高校へ進学あるいは三宅高校卒業後、少なくとも一時期は離島するひとがほとんどなので、特に中学生までの島生活の中で、郷土の歴史や文化についても親しんでほしいのです。

 

三宅島出身・在住の先輩方には、ぜひ「島ではあたりまえ」と思われてきた 素晴らしいもの・こと・こころ を、子どもたちが学び、未来へ伝えてゆけるよう 教えていただけたら嬉しいです。既に家族から日々学んでいる子どもも多いかと思いますが、小さなことでも、島で育った誇りとなります。

 

学校では、今は島外から島を希望して赴任される先生が殆どと伺っています。ぜひ先生方も楽しみながら、島のことを一緒に深めていただくとともに、ご専門にされてきた分野や、学校で実践されてきたご経験によって 三宅島の教育や研究がすすみ 文化が育っていくよう、お力をお貸しください!!

 

さらに、先生方が島外へ戻られてからもぜひ、三宅島の自然と文化について広めてくださったら嬉しいです。私(やなぎはら)は都立高校時代に、伊豆諸島で教諭をされていた先生からの影響を受けて興味をもち移住しました(恩師のこと・外部サイト)

島外からの関心も増えれば有難く思います。

 (2022年6月)

関連記事:三宅中学校文化祭は、郷土学習の発表会でした(外部サイト)

「茅」の授業が行われています

2022年3月 三宅村立三宅小学校にて、「茅」「茅葺」についての授業が実施されました。今後も、3年生社会科「くらしのうつりかわり」の単元にて、島内の文化財を活かし、昔のくらしを体験などにより学習する機会として、取り入れられる予定です。

詳しくは下記リンクをご覧ください。

・ブログ(外部サイト)『島役所《跡》日記』@三宅島 三宅小学校で「茅」「茅葺」についての授業をしました!

七島新聞記事2022年3月28日号

 

2023年2月には、茅の専門家の皆さまが来校しての授業を実施しました。

小学校ホームページ


2022年度からはじまった 三宅村立三宅中学校の郷土学習「三宅観光大使になろう」のテーマのひとつに、「茅葺」がとりあげられています。

第一回目の授業では、自然と文化両面から、三宅島の暮らしの知恵を学びます。ハチジョウススキなどの植物の観察や、地域の方から色々なことを教えてもらい、竹を使った民具に触れたり、手仕事の体験をしたりしました。

第二回目は3学期、専門家の先生方による授業が実現しました。茅刈り・小屋づくりなどの体験、茅葺き関する講義、植物の専門家の解説による観察を、2日間(計4コマ)で行いました。

 

中学校ホームページ

 ご担当の先生による素敵なレポート!必要な茅の確保も含む授業準備に、みなさまで関わってくださり、交流の機会ともなりました。

・ブログ(外部サイト)『島役所《跡》日記』@三宅島 中学校で、三宅島の茅や竹の体験学習! ー 暮らしの知恵を習い・伝える ー 


「茅」を取り入れた、色々な学習のご提案

既存の単元やテーマの中で、「茅」をはじめ、郷土の歴史・文化にちょっと触れていただくだけでも、教科の学習と暮らしとの溝が埋まったり、郷土への関心や誇りを高める効果があるのではないかと思います。

 

ぜひ、授業づくりや行事・教材開発などで、参加・相談させていただけたら嬉しいです。「おといあわせ」フォームや、「イベント」の機会などにお声をおかけいただけましたら幸いです。

 

まずは例として、色々な方から伺ったお話や、学校のホームページで発信されている学習の様子を参考に、考えてみました。自然科学系の分野では既に様々な取り組みがされているように思いましたので、「茅」と人文・芸術系からのご提案です。

今後も、ブログ記事での発信も含め、随時内容を増やしていく予定です。情報をお寄せいただけましたら有難いです。

「🌱」マーク:個人のブログ「島役所跡日記」へリンク。各々の関連情報を掲載しています。

「三宅島の神社」HPにも文化財などの情報があります。

「👓」マーク:三宅の学校に長年勤められた日野章二先生が実践された、昔ながらの暮らしを元にした様々な郷土学習の例。

(小学校)

1年 生活:「秋探し」で島役所跡・御笏神社で落ち葉などを集めていました。(令和3、4年度)🌱

2年 生活:「野菜作り」の敷き草(夏野菜など)につかえます。※特別支援学級や3年の授業で実施されたことがあります👓

3年 社会:「くらしのうつりかわり」にて茅と茅葺の紹介と体験(令和3年度)(上記)

4年

5年 総合:「米作り」に関して、三宅島での陸稲や雑穀栽培・昔の主食(いも)、江戸時代の「扶持米」のおはなし。

6年 社会科や行事:「文化財」のこと、歴史の中で「その時三宅島は?」、島一周でみられる古い建築など

 

図書・読み聞かせ:むかしの暮らしや茅葺き屋根が出てくる絵本 🌱

国語(字や文章の練習):詩を写す・読む(「かや」や色々な植物が出てくる詩)🌱

 (図工・美術・造形活動)

島で使われてきた身近な植物を使った創作。竹や茅を用いた民具の技術を習う(工芸)🌱

現代アートとのコラボ(黒田先生の研究室が、白川郷などで実践されました)

古建築の見学・スケッチ

文化財の鑑賞(和鏡の意匠が美しい。木彫の古い額面など)🌱

ススキが描かれた作品・意匠の鑑賞 🌱

三宅島や伊豆諸島と芸術(出身画家など) 🌱

 

(音楽)

「伊豆諸島のわらべうた」に教材化に関するページがあります 🌱

 

(家庭科・食育)

島の食べ物・行事食 🌱

既に伊豆諸島の島々の食育で、さつまもちづくりなどに取り組まれているポスターをみました。

 

(レクリエーションなど…)

ハチジョウススキの’林’で迷路?(下記SNS参照)・茅鉄砲・水鉄砲(竹)、その他 植物遊びや昔あそび色々あります。

→参考ページ かや を つかおう!   いろいろなしょくぶつを、つかおう! 

(中学校・高校)

総合(郷土学習):令和4年度~三宅中学校1年「三宅観光大使になろう」の一環で、茅に関する学習を実施中 🌱

      

道徳など:環境教育・SDGsに関する学習(茅の循環的な利用)、ジェンダー・職業選択(女性茅葺き職人・昔の島の女性のくらし・伝統技能を受け継ぐ職業の現状=後継者不足等)

 

社会科:(地理)地域調査のフィールドワークにて、畑や集落景観の調査(マグサが植わっている畑や牛小屋の跡などが見られる場合がある、御神輿が通る旧道も興味深い)

(歴史)古代・中世が今にのこる/神仏習合/遺跡・文化財/近世~昭和30年代位の暮らし

 

理科:炭素の循環・地球温暖化問題(茅の循環的利用の効果)、暮らしと自然との関わりの中で生態系・生物多様性を考える(茅場・畑)、三宅島の植物の呼称(方言)、暮らしや神事に使う植物

 

国語:三宅島の古文書、神楽歌・神事芸能、方言。 文学作品に登場するススキや茅について 🌱

 

技術科、高校など?:三宅島の昔からの農林業を理解する(茅の利用・切替畑 ・炭焼きなどの、聞き取り・体験・実験)👓

修学旅行や、進学への学習へ活かす工夫など

😊みやけ保育園でも、お散歩で旧ヘリポートに生えているハチジョウススキで遊んだり、御笏神社までお散歩したりしていると聞いています。

 →小さいお子さまとの植物遊びなどをご案内